令和3年11月12日(金)

出雲高校を会場に、島根県高文連自然科学専門部の研究発表会が行われました。

 

自然科学部化学班は「鉛蓄電池の研究(Ⅰ)」について発表し、優良賞を獲得しました。

以下、報告内容のAbstractです。

 

化学の授業では、正極に酸化鉛(Ⅳ)PbO2、負極に鉛Pbを使用する鉛蓄電池について学習する。しかし、島根県高等学校理科教育協議会が発行する実験書『化学の実験』には、両極板とも鉛Pbを用いる実験が書かれている。電流はイオン化傾向の異なる金属の間でその電位差により生じるにも関わらず、なぜ電流が流れるのか、その仕組みをこの研究で解明したいと考えた。それと同時に、起電力(2.0 V)の持続時間を延ばす実験条件も探りたいと考えた。

文献調査・実験結果として、両極がPbの状態で使い始める鉛蓄電池の起電力は、充電時に生じる金属の酸化数の違い(陰極:Pb 酸化数0,陽極:PbO2 酸化数+4)によって生じると考えられた。そして、以下の実験条件のもとで起電力の持続時間を延ばすことに成功した。

① 充電時間を延ばした。

② Pb板の使用回数(充電・放電回数)を増やした。

③ 硫酸を3.0 mol/L 付近の濃度に設定した。(高すぎず、逆に低すぎないようにした。)

④ Pb板のサイズを大きくし、Pb板の大きさごとに最適時間で充電した。

特に②は、(充電→放電)→(充電→放電)→…の操作を繰り返すことで、より電極の酸化が進み、持続時間の長い耐久性ある鉛蓄電池になっていくという興味深い結果を得た。

島根県高文連自然科学部門研究発表会(令和3年度自然科学部化学班)