新入生の皆さん、入学おめでとうございます。

本校は百年余りの歴史の中で地域や社会のリーダーとなる人財を送り出してきました。皆さんは今日から本校の大切なメンバーです。出雲高校生としての自覚と、そしてこれまでの歴史を受け継ぎ、次の百年に向かって新たな伝統を築くという気概をもって、活力ある高校生活を送ってください。

 皆さんを迎えるにあたり、期待することを2点お話しします。

 1点目は、本校の「久徴の精神」と「自立・協働・挑戦」という学びのスローガンを大切にしてほしいということです。

「久徴」とは中国、儒教の四書の一つ『中庸』の一節で、「至誠息()むこと無し。息()まざれば則ち久し。久しければ則ち徴(しるし)有り。」からきていますが、これは誠実な心と姿勢を忘れることなく生活することで、内面が充実し、その徴(しるし)つまり努力の成果や人としての徳が外ににじみ出てくること、と理解しています。

「自立・協働・挑戦」という学びのスローガンもこれまで受け継がれてきたもので、今後も頻繁に耳にすることでしょう。

 本校での教科の学習、SSH事業での課題研究などでは、先端科学の研究や社会で起こっている問題などに触れ、幅広く深い教養や科学的リテラシーを身につけることをめざします。また1年次の関西先端科学研修では現在活躍中の研究者の取組を知ったり、直接に助言を受けたりする機会があります。これら本物に触れる経験から、視野を広げ、課題発見力や論理的思考力を養ってほしいと思います。

そして、部活動、生徒会活動、地域での自主的な活動なども貴重な学びの機会です。考え方や立場の違う多様な人と交流し、協働して一つのことを成し遂げるという経験をとおして、対話力や社会貢献意欲を高めることができます。ここ数年、学校という世界を離れ、自ら地域社会の課題解決に取り組もうとする在校生も出てきました。将来の社会の形成者として、その行動力、挑戦力を頼もしく感じます。

また挑戦においては、辛抱強く努力を続けることが大切です。一時的な頑張りではなく、長期的にやり抜くことです。思いどおりの結果が出なくても、挫折や失敗を経験したとしても、その経験から何かを学んで何度でもやり直せばよいのです。

挑戦すること、他者と協働すること、そして何事も諦めずにやり抜くこと、高校生活において、これらのことを大事にしてください。

2点目は、高い志をもってほしいということです。

 今日皆さんが身につけている校章は、外側に「雲」をかたどり、中に高校の「高」の字を入れたものです。出雲という校名によるものでしょうが、雲は「青雲の志」という言葉もあるとおり、自分の志を高く掲げ、夢を追い求めていく姿をあらわすものでもあります。自分は出雲高校で何をしようと思うのか、今日改めて問い直してみてください。

 昨年11月、パレスチナ自治区ガザ地区の病院で、攻撃により命を落とした「国境なき医師団」の医師が、次のような言葉を書き残したと報道されました。「最後まで残った人が、私たちはできる限りのことをしたと語ってくれるでしょう。私たちのことを忘れないでください。」世界で、日本で今起こっていること、そこで「できる限りのこと」をしている人々のことを、私たちは忘れてはならないと思います。

 皆さんの前に広がっているこれからの人生を、どのように切り拓いていくか。自分の個性や資質を見極め、それをどのように生かして社会に貢献していくか。高校生活はそれを深く考え、選択し決断していく期間でもあります。ぜひ社会で新たな価値を創造するイノベーション人財のような、高い志をもってください。多様な経験をしている本校卒業生から直接話を聞き、その生き方に触れる機会もあります。そのような機会を捉えて、自分の力をどのように社会に生かし、どのような社会を形成していきたいかを考えてほしいと思います。

 最後に、高校生活は順調なときばかりではありません。悩んだり困ったりしたときには、身近な人に頼ることも必要です。友達、家族、そして教員に相談したり胸の内を話してみたりしてください。話していく過程で、自分の気持ちが整理されたり悩みの核心がはっきりしたりして、次の行動を起こすことができたりするものです。自立するためにも、孤立をしてはいけません。

 以上、新入生の皆さんが、「久徴の精神」と「自立・協働・挑戦」の姿勢を大切に、高い志をもって、豊かな学びと成長の3年間を送ることを願うとともに、教職員一同でそれを支えていくことをお約束し、入学式の式辞といたします。

 

   令和六年四月九日

                    島根県立出雲高等学校長  村松 洋子

令和6年度入学式校長式辞