SSH更新情報

 

SSHとは

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)とは、文部科学省の事業です。文部科学省は、国際的に活躍できる次世代の科学技術系人材を育成するため、高等学校等において先進的な理数教育を実施する高校を指定し、支援しています。そのため、独自性のあるカリキュラムの開発・実践や課題研究の推進、観察・実験等を通じた体験的・問題解決的な学習等を行っている高校が指定されます。

出雲高校は、第1期(2013-2017年)、第2期(2018-2022年)を終え、第3期(2023-2027年)の指定を受けています。また、2014-2018年には、SGH(スーパーグローバルハイスクール)の指定を受け、現在はSGHネットワークに参加しています。
第3期では、第1期・第2期の成果をさらに深化・発展させていきます。

 

SSHについてはこちらご覧ください。(文科省ホームページ)
SGHについてはこちらをご覧ください。(文科省ホームページ)

 

 

今こそ「課題研究」 

これまでの授業は、先生の指導の下、教科・科目ごとに分かれ教科書を中心に学習してきました。それは、あらかじめ決められた答えを求める学習と言えます。
一方、世の中の解決すべき問題は
、そう簡単ではありません。明快な答えのないものがほとんどです。当然ながら、教科・科目別に分かれてもいません。ですから、皆が納得するような納得解、最適解を求め続ける力が必要となります。 

また、世の中の変化は急激で、AI、ビッグデータ、IoT、ロボティクスといった技術の進歩により、社会の変化は加速度的に進み、10年先でさえ予測するのは困難です。変化の激しい世界を柔軟に生き抜き、社会をリードする人と成るための力をつけるには、やはり、従来の受け身型の学習だけでは難しいことがわかってきました。

では、教科学習によって身についた様々な力を、社会の諸問題の解決に向かう実践力とするには、どのような学習が効果的なのでしょうか。それは、教科・科目の分野を往還する学びです

そこで、現在注目を集めている学習が「課題研究」です。

 

 

出雲高校SSHの目玉・課題研究、概要

出雲高校はSSH事業を通して、「課題研究」に取り組んできました。教科学習と違い、用意された答えはありません。私たちの回りを取り巻く様々な事象をテーマとして、4~6人のグループ(研究班)を作り、2年進級時から3年の夏休みまでの約1年半、協働しながら研究に取り組みます。テーマ設定は自由ですが、研究班の皆が自分事として捉えることができる内容とするために、皆で協力して話し合います。そして、科学的な手法を用いてそのテーマについて研究をします。単にテーマを決めて文献調査を行う調べ学習とは異なり、検証(実験など)に基づいた自分たちなりの新たな発見や、根拠に基づいた解決の方法を提示すると言ったオリジナリティが大切です。ここに、用意された答えはありません。発表と研究を繰り返しながら研究を深めていきます。今までの学習成果を活かしながら、主体的・対話的で深い学びを体現しているのが課題研究なのです。本校では普通科の課題研究の授業を「SS探究発展A」、理数科の課題研究の授業を「SS探究発展B」(いずれも略称SS)と呼び、図書館を活動の拠点として週2時間実施しています。

 

 

課題研究で身に付けてほしい思考「デザイズム」

全国のSSH校が取り組んでいる課題研究ですが、出雲高校は独自の課題研究プログラムを実施しています。その名も「デザイズム」です。

今、注目されている思考「デザイン思考」を取り入れた出雲高校独自の課題研究法を「デザイン思考(Design Thinking)」+「出雲(Izumo)」を組み合わせて「デザイズム(Design-izm)」と名付けています。

「デザイン思考」とは、よく企業などが商品開発を行う際に用いられる思考です。身の回りに存在する多くの問題に注目し、それらを持ち寄って集め、皆で検討して問題を1つに絞ります。そして、その問題を解決するためのプロトタイプを作成し、検証を行うといったプロセスを繰り返します。

出雲高校の課題研究は、この「デザイン思考」をそっくりそのまま課題研究に取り入れているのです。生徒自身が身近に感じている諸問題について、お互いに持ち寄って問題を1つに絞ります。その問題が抱えている背景をしっかり調査し、解決するための方法を仮説として設定します。その仮説が正しいかどうか実験等を通して検証を行い、研究を深めていきます。

出雲高校ではこの「デザイン思考」について、これらのプロセスを行う手法を「デザイン思考」、問題を解決するためのマインドを「デザイン志向」(造語)と呼び分け、変化の激しい社会へ対応するためのマインドの重要性も大切にしています。

 

 

課題研究を全教員でサポートする指導体制!「出雲モデル」

出雲高校生は入学してから卒業までに必ず全員が課題研究に取り組みます。従って、それを指導する教職員も多くの人数が必要です。
そこで、出雲高校は原則として全ての教職員が課題研究の指導に当たります。この連携指導体制を本校では「出雲モデル」と呼んでいます。
izumoーmodelのサムネイル

各研究班に担当の教員が1名つき、生徒の研究をサポートします。また、週2時間の「探究発展」の授業を進め、クラスの研究班の研究の進捗を管理しているのが副担任の教員です。理系クラスには研究に特化したベテラン教員も授業に参加します。研究機関や行政機関等の外部連携指導員(多くは大学の先生)も必要に応じて研究のサポートをしてくださいます。

活動の拠点は図書館で、書籍を中心とした先行研究(過去に行われた研究)を調べるのに適しています。過去の先輩達の研究はもちろんのこと、他校の生徒の研究内容もここで調べることができます。また、図書館司書の先生も研究に関してのサポートに入ります。

 

 

出雲高校 × SSH ・・・目指しているもの

 出雲高校では、地域・社会のリーダーとして貢献できる「イノベーション(=技術革新)人材」の育成を目指しています。課題研究の他にも、独自のカリキュラムに基づいた授業および学校づくりを行っています。


では上図の授業やイベントについて、簡単に捕捉します。

 

1年時には、課題を解決していく手法や能力を習得する活動を行うことを目標にしています。

  • Basic Science(略称BS) :週1時間 全学科対象。パソコンを中心としたデータ処理等の情報系科目+科学基礎実験
  • SS探究基礎(略称SS) :週1時間 全学科対象。ディベートによる論理的思考力の育成+2年課題研究に向けての基礎学習
  • 関西先端科学研修 :全学科対象。関西方面の研究機関を訪問する2泊3日宿泊研修
  • PDGzセミナー :全学科対象。大学等外部講師による体験型ワークショップ+講座

 

2年時には、発見した課題を洞察し、解決に向けた探究活動を意欲的に行うことを目標にしています。

  • SS探究発展A(略称SS) :週2時間 普通科対象。デザイズムに基づいた課題研究
  • SS探究発展B(略称SS) :週2時間 理数科対象。デザイズムに基づいた課題研究、より科学的分析・考察力を求めた発展的内容
  • シンガポール海外研修 :理数科対象。シンガポール国立大学、ナンヤン工科大学、海外交流高校との交流、研究発表を行う3泊5日の海外宿泊研修
  • サンタクララ海外研修 :普通科希望者選抜対象。アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララへ5泊7日の短期海外交流体験プログラム

 

3年時には、学習成果を積極的に発信し、より良い社会の形成に向けた創造的提案を行うことを目標にしています。
今までの研究成果を以下の4つの発表形式のどれかで発表します。

  • キッズのためのスーパーサイエンス 主として理数科・普通科理系対象。出雲科学館にて、地域の子どもたちやオープンスクール参加の中学生へわかりやすく研究の内容を発表
  • 出雲市役所への地域創生に向けた政策提言 主として普通科文系対象。社会課題・地域課題に取り組んだ研究を提言の形にして出雲市長・市役所職員へ発
  • 島根大学グローバルセッション 主として理数科・普通科対象。研究の内容を島根大学留学生に向けて英語で発表・ディスカッション
  • 山陰探究サミット 理数科・普通科対象。山陰両県の課題研究・探究学習に取り組む高校の合同発表会。出雲高校主催

 

その他にも、課題研究班として対外行事に参加することもあります。過去の例はこちらです。

JST主催「SSH生徒研究発表会」(神戸)
中四国九州地区理数科課題研究発表会
島根県理数科課題研究発表会
いずも産業未来博
しまね大交流会
しまね探究フェスタ
いずも多文化交流会
鳥取西高等学校SSH研究成果発表会
兵庫県立豊岡高等学校SSH研究成果発表会
福知山公立大学主催「田舎力甲子園」
山陰放送主催「発明楽コンテスト」
WWLSGH×探究甲子園
日本薬学会他主催「高校生オープン学会」
山陰探究サミット
島根大学総合理工学部主催「高大連携課題研究発表会」
島根県立松江南高等学校「アクションクエスト2022」


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