令和4年度 出雲高校補習科 入科式  激励の言葉

本日入科した57名の皆さん、よくぞ覚悟を決めて補習科を選び、そしてこの場に集ってくれた、まずはそのことに敬意を表します。
出雲高校以外の高校から入科した皆さん、出雲高校の卒業生が多い環境の中で、初めて習う先生の授業など、当初は戸惑いもあろうと思いますが、少しずつ慣れて適応できると思っています。縁あって集うことになった心強い同志たちとともに、通信の標題でもある「臥薪嘗胆」の思いを大切に、切磋琢磨して高め合ってくれることを期待しています。
補習科で授業を担当される講師陣は、教科指導、進路指導で実績豊富な信頼できる方々ばかりです。必ずや皆さんに教科学力をつけてくださいます。とはいっても、学習の基本は自学自習、悔しい思いや必ず希望を実現して見せるといった意気込みをぶつけて、最も困難といわれる「自学自習力」をぜひとも確立させてください。

さて、補習科生に向けて勧めたいことは多々ありますが、3つに絞って伝えます。
1つ目は、「余白を持つことの大切さ」です。
勿論、我武者羅も一心不乱も大切ですが、時折自身の今を導く過去を振り返り、未来を思いやる時間が「今」の充実を生みだします。また、勉めて強いる「勉強」ばかりでは窮屈ですから、時には読書や他者との語り合いなどに取り組むことが精神安定や学習そのものにとっての良き潤滑油となり、人格を高めてくれるものです。自身に与えすぎない、適度な余白を意図的に作り出せるか、真価が問われます。
2つ目は、「夢ではなく希望を持って実現させてほしい」ということです
島根県出身の東京大学教授、玄田有史先生の「希望」についての定義を紹介します。【Hope is a wish for something to come true by action.】
ぼんやりとした夢を漠然と追いかけるのではなく、自分なりの明確なwish、願望をもって、その実現のために具体的に行動してください。希望の実現に挑みましょう。
3つ目は、「試験は対話」ということです。
2005年頃に流行した「ドラゴン桜」という漫画でも取り上げていた言葉です。
学習指導要領に基づく教科書内容から基本的に逸脱できないのが入試です。知るはずのないことは基本的に出題されないルールがあります。基礎基本を確実に習得し、切り口や問いかけのバリエーションを数多く経験して対応力を高めれば、自ずと結果は出せます。「これならわかるか?」の問いに対して、「あの時のこれですね」「こういうことを求めているのですね」と返せる対話力をつけたいものです。だから、普段から不断に先生や同志と共によりよい対話経験を積み重ねましょう。そうした日常的な経験の積み重ねがきっと入試突破力となっていくはずです。
これまで皆さんは数々の壁を超えてきました。でも、超えられなかった壁があったのも事実。これまで超えた経験のない壁が厳然としてあり、これから最も超えたい壁を前にするわけで、これは自身の力で超えるしかないのです。恐らくこの1年でいろいろな壁を超えていくわけで、その経験が必ずや力になります。趣味趣向等への我慢の壁、清掃等への奉仕の壁、未経験分野を踏破していく壁、超えましょう。

結びに、皆さんにとってここ5号館補習科棟が心地よいホームとなり、この1年が人生にとってかけがえのない時間となることを信じています。よければ、余白の時間に校長室まで遠慮なく訪ねてきてください。対話の相手になら私でもなれます。進路相談や悩み事相談、学問探究なんでもありです。いつでもどうぞ。

以上、補習科入科にあたっての激励の言葉とします。がんばってください。

令和4年4月9日 島根県立出雲高等学校 校長 多々納雄二

令和4年度補習科入科式 激励の言葉