全力を出し切るために ~言葉による応援シャワー~


 実質18日間の冬休み、いかがだったでしょうか。年末の悪天候による臨時休業が加わった結果、例年になく長い冬休みとなりました。コロナ感染症第8波到来の中にありながらも、皆さんがこうして元気な姿を見せてくれていることを嬉しく思います。受験生にとっては正念場とも言える大学入学共通テストが今週末に控えています。関わる者全てが、マスク着用、こまめな手指消毒、換気等の基本的自衛策を徹底し、3年生や補習科生が感染症の影響で制約を受けず全力を出し切れるよう、油断せず万全の対策を行っていきましょう。残る日々、我々も精一杯支え、応援していきます。

 さて、3学期の始業日にあたり、受験生のみならず全ての生徒が何事にも全力を出し切れるように、身近なところで伝えられている言葉を改めて紹介します。身近なところとは、生徒全員が所有し、日々活用している「GRITizm Note」であり、月や週毎に掲載されている金言・名言の再確認を通して、出雲高校生ならではの応援メッセージを贈ります。

 まずは、令和5年1月、33ページ。芸術家・発明家として名高い、レオナルド・ダ・ヴィンチの名言、「鉄が使用せずして錆び、水がくさり、また寒中に凍るように、才能も用いずしては損なわれる。」が載っています。そして、年度初めから数えて第42週にあたる今週、123ページには、『幸福論』で有名な法律家・哲学者、カール・ヒルティの「人生で何にもまして耐えがたいことは、悪い天候が続くことではない。雲ひとつない好天が続くことだ。」が載っています。編集者の意図を察するに、この時期にこそ届けたい応援メッセージとして選出されたのだと思います。私の立場で殊更に解釈すると意味が固定・限定化されてしまうので敢えて控えますが、皆さんには、これらの言葉を自分なりの勇気に換えて、高校生活で培ってきた資質や能力を出し惜しみせず、苦境と思える中でこそ発揮してほしいと心から願います。受験生にとっての1月第2週は、まだ何も決まっていない、これから「新しい景色」を自力で切り拓くことのできる時期にあたります。1・2年生は、次の学年に進む準備段階にあたる「ゼロ学期」と言われる時期です。先のヒルティはこうも言います。「心配に対する最上の対策は忍耐と勇気である。」と。逃げず、挫けず、諦めずの三「ず」の精神で、忍耐強く勇気を持って果敢に挑む学期にしていきましょう。

 思い返せば、Noteの冒頭4月、15ページには、私の推薦する作家 井上靖の言葉、「努力する者は希望を語り、怠ける者は不満を語る。」が掲載されています。予定していた関西先端科学研修や理数科のシンガポール研修、その他サンタクララ研修等の各種の交流の機会はすべて中止を余儀なくされましたが、そんな中でも不満よりも希望を語る、努力を惜しまない皆さんであったからこそ、今があります。目が覚めると消えてしまうような「夢」ではなく、飽くなき努力によって実現をめざす「希望」を抱いて、皆さんには前進し成長を遂げてほしいと思います。

 3学期は、大学入学共通テスト、大学入試個別試験、2月にはSSH課題研究成果発表会、年度最後の学年末考査があり、3月には卒業式、そして高校入学者一般選抜と続いていきます。手元にあるNoteは持っているだけでは価値が高まりません。自分なりの目標を掲げ、スケジュール管理をしながら記録し、自己検証して次に活かしてこそ、1年にわたる努力の証明書たる価値を持つのです。本校で育みたい資質・能力の一つである「主体性」、自己肯定感・課題発見力・挑戦力を、Note活用を通して高めてほしいと思っています。そうしたことが皆で共通してできる環境、それが出雲高校の大きな魅力ではないでしょうか。そこで育った受験生、自信を持って受験に挑んでください。

 Noteの2月には、Panasonicの創業者 松下幸之助の「失敗せずに名人になろうと思っても、それは虫がよすぎるな。」、3月には、技術者として著名な田坂広志の「成功は約束されていないが、成長は約束されている。」が載っています。1月から3月にかけて、皆さん自身がどんな目標を掲げ、失敗を恐れずに成長を遂げていくのか、楽しみに見届けたいと思っています。過去を悔やんでうつむくのはやめ、未来を見据えて前を、上を向いて進みましょう。「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる。」(カナダの精神科医 エリック・バーン)のですから。

 以上、冬休みを終えての再会を喜ぶとともに、生徒の皆さんへの応援のエールと今後への期待を伝え、始業式の式辞とします。

令和5年1月10日  校長 多々納 雄二

 

 

令和4年度3学期始業式 式辞