オリィさんからいただいたもの


 1学期の終業を刻む日となりました。コロナ感染症に悩まされ、暑さや雨にも苦しめられる日が続いています。自衛的な感染症対策等によりこの苦難を乗り越えて、出雲は出雲らしく誠実に成長・発展を遂げていきましょう。

 さて、去る715()に本年度第1SSパワーアップセミナーを実施しました。「孤独の解消」をテーマに様々な発明や企画に取り組まれている、株式会社オリィ研究所の吉藤オリィ所長による「対孤独の発明家が描くテクノロジー社会の未来」と題した講演で、様々な事情での欠席が少なからずあったものの、聴講者にはこの上ないメッセージをいただけたと思っています。講演後の講師との座談会では予定を大幅に上回る40名近くの参加者が活発な質疑応答を行い、当日夜には講師とのツイッター交流が40名以上あったと聞いています。そうした前掛かりな姿勢を頼もしく感じるとともに、生徒達に強烈なメッセージを贈ってくださったオリィさんに感謝の念で一杯です。終業日の訓辞にはそぐわないかもしれませんが、講演を通して伝えていただいた言葉のいくつかを紹介し、これからを生きる生徒達のために備忘録として残し、伝えたいと思います。

 

1.これからの社会が求めるモノ

○機械では代替不能な「コミュニケーション力」(通じ合う力)、そしてリアクション力(相槌等)
○発明家が必要 「できない」ことに価値がある 「できない」を「できる」に換える発明家になろう!
・無から有を創り出すのは難しいが、既にあるものを組み合わせれば発明は容易にできる
・多くの人がほしいと思わなくても、特定の人がほしいものを創る! ⇒ 一種の課題解決
・「こんなものがあってもいいじゃないか」を創出 世の中にいちゃもんをつける(実践・実現)
・自分がほしいモノを創る 「なければ創ればいい」 創ったならば世に発表せよ
⇒ いかにレア、オタクであっても、きっと共感する人達(仲間)はいる (例)黒い白衣
・できなくて困っているヒト・コトに目を向ける 大切なのは、「できない」を諦めないこと
⇒ すべて本校で取り組む「課題研究」に通じること!

 

2.障がいに向き合う

○平均寿命と健康寿命の差 ⇒日本人の誰もが9~12年間は何らかの「障がい」を持つ者になる
・(人工呼吸器を付ける等の)延命は世界のValue(価値)ではないと知れ
○「OriHimeは心の車椅子」、「心が自由ならどこへでも行き、なんでもできる」(番田雄太さん)
OriHimeはアンドロイドではなく遠隔操作ロボット、障がいある人の「もう一つのカラダ」
○「助けを必要としていること」と、「いつまでも助けられ続けたい」かは全く違う次元の話
・障がい者の思い = 「私のせいで迷惑をかける」、「『ありがとう』の連続は申し訳ない」
・体を運ぶことが「いる」ことか? 体はなくても心は動ける 心がいればそれは「いる」こと!

 

3.キャリア教育的アドバイス

《好き・関心のありかの見つけ方》
○絵や写真にヒントあり ⇒ 自然と着目したり、切り取ったりする部分や箇所に「好き」あり
《投資すること》
○失敗にかかる投資は重要
○大学や会社選びは、HPを見て済ますのではなく、そこにいる人の話を聞くことが何より重要
○授業で学費を回収しようとしない ⇒ 人と出会うことに価値がある

 

4.生きる意味の見出し方

○生きる意味は、人との出会いやつながりの中で見出せる ⇒ 大切にしたい、出会いと発見の機会
・人はいつからでも変われる、動き出してみればいい(オリィさんは工業高校の先生との出会い)
○立場が人をつくる  他者からどう扱われるかによって人の価値が決まる 人は変質していく
・変わりたければ環境を変えることが重要
○オリィさんの場合、「この研究をするために生まれてきた」と言って憚らない海外の若者達との出会いが転機
・「自分の人生をかけるべきこと、『本当に人の役に立つ』と自分が思えることを始めたかった」
・「人生30年計画を立て、それをもとに今の充実を図って生きてきた」(工業高校→高専→大学→起業)

 

5.人の心をつかむプレゼンテーション術

○自己紹介を工夫せよ ⇒ 自分を覚えてもらうための気遣い (例)命名の由来、「黒い白衣」
○相手が共感する課題の提示で導入 伝えすぎないで余韻を残せ


 上記には、メモの不完全さから原文そのままではない言葉・表現があることをご容赦ください。オリィ様、貴方との出会いは、生徒達にとっても私にとっても、実に意義深いものとなりました。貴重な出会いに感謝です。
 これからも、様々な出会いを大切にし、課題解決のできる「発明家」を育成していきたいと思います。
以上、貴重な出会いの機会を得て豊かなメッセージをいただいたことに深く感謝しつつ、生徒の皆さんがこの夏にも多くのヒト・モノ・コトとの出会いを得て充実した日々を過ごしてくれることを期待し、式辞とします。

令和4年7月22日  校 長 多々納 雄二

 

令和4年度1学期終業式 式辞